日本循環器病学会のHPには、有益情報が満載されていますので、それを紹介します。
最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。
心疾患など、慢性疾患を有する人たちは以前には病状の悪化を恐れるあまり、医師でさえも運動を禁止する傾向にありました。
それが、最近では運動によって患者の生活の質・人生の質(QOL)が改善することが明らかにされてきました。
現在では、むしろ許容範囲内であれば運動・スポーツへ参加することを勧めています。
心疾患患者の学校、職域、スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)では、学校、職域、スポーツにおける心疾患の重症度に応じた運動許容条件を示しています。
ただし、心疾患患者の運動許容条件については、無作為化比較試験のような高いエビデンスがありません。
そこで、水氣道®では、心疾患患者の重症度の判定やそのための検査についてのエビデンスを利用して、参加者のフィットネス検査(体組成・体力検査)を実施し、運動療法としての有効性を検証するとともに、その前提として安全性の高いプログラムを構築してきました。
心疾患患者の水氣道®稽古における運動許容条件を『疾患患者の学校、職域、スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)』から学ぶことはとても意義があるといえるでしょう。
ガイドラインから学ぶ心疾患患者の水氣道®稽古における運動許容条件
Q2
心疾患における運動許容条件は、どのように決めるのですか?
A.
心疾患における運動許容条件は、心疾患の重症度と実施する運動の強度との関連から、心臓性突然死や心疾患の病態が増悪するリスクの程度を判断するものです。
『疾患患者の学校、職域、スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)』では、心疾患の重症度は軽度リスク、中等度リスク、高度リスクの3段階に分けています。そしてニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類の1度から3度までの心機能を持つ心疾患について 判断します。
運動の強度には、絶対的な強度と相対的な強度があります。絶対的な強度は、各種運動実施時に測定した酸素摂取量のデータを集約した表を用いて予測するものです。その場合は、METs単位(安静座位の酸素摂取量1METs=3.5ml/㎏/分の何倍の酸素摂取量かの単位)で表現されます。ガイドラインではMETsを用いて3段階(軽い、中等度、強い)に分類しています。
運動許容条件は、運動強度と、それを実施するために望ましい運動耐容能と心疾患重症度の関係から決定します。運動許容条件として適合するには、各種の運動を自覚的運動強度13以下(ややきつい~楽な強度)で行えることを基準としています。これは、最高酸素摂取量の40~60%強度に相当します。心疾患患者は、あるMETs数の強度の運動を「ややきついか楽な」強度で行うためには、そのMETs以上の運動耐容能が必要となります。
スポーツにおける運動許容条件について、成人がスポーツに参加する健康管理は、わが国は米国同様に、法的には自己責任と考えられています。しかし、スポーツ参加に際してメディカルチェックを受けた者の運動許容に関しては、医師の診断ないしは勧告が必要となっています。とくに、スポーツ参加を希望する心疾患患者の重症度評価には、運動負荷試験が必須です。
わが国では、日本臨床スポーツ医学会から、一般人を対象としたスポーツ参加のためのメディカルチェック基本項目が示されています。その中の運動負荷試験の適応としては、リスクファクターの有無にかかわりなく男性で40歳以上、女性で50歳以上の者が対象になります。また、年齢に関わらず安静心電図に異常が認められれば対象になります。また、心エコー法の適応疾患は特定されていませんが、メディカルチェック基本検査において異常が認められた者を精密検査としての追加検査として行うことになっています。
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